FXのスワップ運用は低金利社会でとても魅力的で、やり方次第では素晴らしい運用方法になり得るものだと思います。しかし、仕組みや成り立ちなど注意事項を抑えておかないと思わぬ痛手を負ってしまう危険性がありますので注意が必要です。
どうして他国の通貨は日本の円と比べて高金利であるのか?逆にどうして円は金利が低いのか?スワップ運用をする際の注意点は何か?など要点を説明したいと思います。経済学的な説明になるとわかりにくくなるので、あくまでも初心者向けに要点だけ説明しますのでご了承ください。
なぜ、各国の通貨でスワップ金利が違うのか?
これは主要各国の中央銀行が決めた政策金利です。コロナショックでどの国もほぼ0%になってきています。ここには載っていませんが、新興国の政策金利は主要国と比べて高いです。トルコであれば9.75%ですしメキシコは6.5%、南アフリカは5.25%です。これでも下がってきているのですが、それでも他国と比べると高い水準であると思います。
この各国の金利差があるためスワップ金利が発生します。例えば、トルコリラと円では9.85%の差があります。つまり、円を持つよりトルコリラを持っているほうが金利がたくさんつくため、円を売ってトルコリラを持っている状態(トルコリラ円の買いを持った状態)であれば、差額の金利分としてプラススワップを受け取ることができます。その逆は同じ理屈で逆に支払わなければなりません。
ちなみに、私たちがやり取りするスワップ金利は政策金利をベースにしながら各FX業者が設定するため、業者によって高い低いの差が生まれてきます。業者によって大きく違いますので、FX口座選びはしっかりと行ったほうが良いと思います。
政策金利が高い、低いとは?
本格的な経済の話しは端折りますが、国家(中央銀行)は市場へのお金の供給量により経済を管理しています。市場に流通するお金が減れば経済が回らなくなってしまいますし、多すぎるとお金の価値がなくなり混乱してしまいます。程よい頃合いを政策金利の上下で調整しています。
また、グローバル経済でお金は国家間を飛び越えて回りますので、投資家はよりこれから経済発展しそうな国々に投資を行おうとしますが、魅力がない国はお金が集まらずに困ってしまいます。だから金利を上げて外貨流入を目指すのです。
つまり、政策金利が高めの国々はそれだけリスクがあるという事も言えます。FXで扱っている通貨では可能性は低いですが、その他小さな新興国であればデフォルトで紙屑になってしまうリスクもなくはないです。金利で得る収入とリスクはやはりイコールなのです。これを忘れてはいけないという事です。
スワップ運用時に気を付けること
コロナショック時もそうですがリスク回避の動きになれば売り込まれやすいです。理由は安全資産と言われる円などが買われやすい状況になるからと、キャリートレードなどの解消があるからです。世界中の様々な投資家は新興国に株式や債券などの投資をしていたとして、それらを売却しなければならいう事になった時に、為替で新興国通貨を売ってドルなり円として買い戻す動きになるからです。
さらに、全世界で利回りが低くても安全な投資商品にお金が回されるため、お金が回らなくなり新興国経済が弱ってしまいます。主要国と違い大きく影響を受けてしまうため、新興国通貨は暴落してしまう危険性が高いという事です。
スワップ運用をするならこれらを鑑みてロスカットされない資金管理が必要になります。過去最安値を更新しても耐えられる計画を最初に決めておくことや、暴落となった際にも可能であれば追加資金を投入するなども手段でしょう。その際には許容損失額をしっかりと決めて範囲内で運用する必要があります。
しかし、逆に考えると暴落時は大バーゲンセールとも言えて安い値段でポジションを持つことができます。概ね●●ショックという暴落相場はV字回復して戻す傾向がありますので、新しくポジションを持つ人にとってはお宝になり、既に持っている人も平均値を下げる事ができる可能性があるとも考えられます。(参考記事)
まとめ
スワップ金利が高い通貨ペアには上記のようなリスクやチャンスがある事を認識しましょう。その背景を知らずに「毎日、お金がちゃりんちゃりん入る!から」と盲目的にしているのは危険ですし、過度に不安視する必要もないです。リスクとリターンはイコールであり、どのようにコントロールしていくかがポイントなのです。
スワップ金利が高い新興国通貨でも下げる時もあれば上がる時もあります。暴落時にはチャンスだと思い拾いながら、ある程度上昇すれば決済してスワップ金利+利幅益のダブル収益となれば割は良い運用法だと思います。それを実践するためにも事前に資金管理などを決めておく必要があります。